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CASBEEとは
「CASBEE」(建築物総合環境性能評価システム)は、建築物の環境性能で評価し格付けする手法である。省エネや省資源・リサイクル性能といった環境負荷削減の側面はもとより、室内の快適性や景観への配慮といった環境品質・性能の向上といった側面も含めた、建築物の環境性能を総合的に評価するシステムである。
CASBEEは、2001年に国土交通省の主導の下に、(財)建築環境・省エネルギー機構内に設置された委員会において開発が進められているもので、2002年には最初の評価ツール「CASBEE-事務所版」が、その後2003年7月に「CASBEE-新築」、2004年7月に「CASBEE-既存」、2005年7月には「CASBEE-改修」が完成した。
CASBEEの評価ツールは、(1)建築物のライフサイクルを通じた評価ができること、(2)「建築物の環境品質・性能(Q)」と「建築物の環境負荷(L)」の両側面から評価すること、(3)「環境効率」の考え方を用いて新たに開発された評価指標「BEE(建築物の環境性能効率、Building
Environmental Efficiency)」で評価する、という3つの理念に基づいて開発された。BEEによるランキングでは、「Sランク(素晴らしい)」から、「Aランク(大変良い)」「B+ランク(良い)」「B-ランク(やや劣る)」「Cランク(劣る)」という5段階の格付けが与えられる。
CASBEEには、下図に示すような建築物のライフサイクルに応じた4つの基本ツールと、個別の目的に応じた拡張ツールがあり、これらを総称して「CASBEEファミリー」と呼んでいる。

図1 CASBEEファミリーの構成
建築物のライフサイクルと4つの評価ツール
CASBEEは建築物のライフサイクルに対応して、CASBEE-企画、CASBEE-新築、CASBEE-既存、CASBEE-改修 の4つの評価ツールにより構成され、デザインプロセスにおける各段階で活用されることを想定している。これらの4つの基本ツール、およびCASBEE-HI(ヒートアイランド)やCASBEE-まちづくり、CASBEE-すまい(戸建)など、個別目的への拡張ツールを総称して、「CASBEEファミリー」と呼んでいる。各ツールにはそれぞれ目的とターゲットユーザーが設定されており、評価対象とする様々な建物の用途(事務所、学校、集合住宅等)にそれぞれ対応できるように設計されている。

図2 建築物のライフサイクルとCASBEEの4つの基本ツール
CASBEE-企画(開発中)
プロジェクトの企画(プレデザイン)の際に、オーナーやプランナーを支援することを目的とする。大きくは以下の役割を持つツールである。
1) プロジェクトの基本的な環境影響等を把握し、適切な敷地選定を支援する。
2) 企画段階でのプロジェクトの環境性能を評価する。
CASBEE-新築
設計者やエンジニアが設計期間中に評価対象建築物のBEE値等を向上させるための自己評価チェックシステムであり、設計仕様と予測性能に基づき評価を行う。専門家による第三者評価を行えば、ラベリングツールとしても活用できる。改築・建替えは「CASBEE-新築」で評価するが、その際、解体工事に伴う廃棄物抑制に対する取組みも評価される。
CASBEE-既存
既存建築ストックを対象とする評価ツールで、竣工後1年以上の運用実績に基づき評価する。資産評価にも活用できるものを意図して開発された。
CASBEE-改修
「CASBEE-既存」と同様、既存ストックを対象とし、今後重要性が増すESCO事業やストック改修への利用も視野に入れており、建物の運用モニタリング・コミッショニングや改修設計に対する提案等に活用できるツールである。
このうちCASBEE-企画を除く3つの基本ツールがこれまでに開発されており、実際の建築物の評価に利用されている。
個別目的へのCASBEEの活用
以下に示すCASBEEの拡張ツールは、基本ツール群を発展させ、多様な個別目的に対応したものである。
(1)CASBEE-短期使用
仮設建築物のように短期間の使用を意図して建設される建物について評価を行うツールとして「CASBEE短期使用(展示施設)」が開発された。これは「CASBEE-新築」の拡張として位置付けられており、現在は対象を展示施設に限定したツールが完成している。
(2)CASBEE-新築(簡易版)
「CASBEE-新築」の評価実施には、採点に必要な根拠資料作成時間を含めて、3〜7日間程度を要する。これに対して、以下のような目的にかなうツールの必要性が高まり開発されたものが、「CASBEE-新築(簡易版)」である。2時間程度(省エネルギー計画書作成時間を除く)で予備的な簡易評価が可能となっている。
1) 環境性能水準の簡易設定(建築主・設計者・施工者等の合意形成ツールなど)
2) 環境設計目標の設定と達成度評価(ISO14001における案件管理ツールなど)
3) 官庁等届出書類の作成(建築行政での環境対策、自治体版CASBEEへの適用)
(3)自治体版CASBEE
「CASBEE-新築(簡易)」は、前述のように地方自治体での建築行政にも利用できる。活用する自治体では、気象条件や重点施策等、各地域の事情に合わせ、重み係数などの変更を行い使用することができる。各自治体では、省エネルギー計画書と同様に建築確認申請時に行政への届出を義務付けることで、その地域に建設される建築物の環境性能向上に役立てることができる。
一例として、名古屋市建築物環境配慮制度による「CASBEE名古屋」が2004年4月より実施された。なお、地域特性に対するフレキシビリティはCASBEEファミリーに共通のものと考えてよい。
(4)CASBEE-HI(ヒートアイランド)
東京や大阪等の大都市圏ではヒートアイランド現象に関する問題が深刻化している。CASBEE-HI(ヒートアイランド)は、建築物におけるヒートアイランド現象緩和への取組みを評価するツールとして開発された。これは基本ツールに含まれるヒートアイランドに関する評価項目に関して、より詳細かつ定量的な評価を行う役割を持つ。
(5)CASBEE-まちづくり
CASBEEの基本ツールは、単体建築物を評価対象としているが、建築物群となった際の環境性能を評価することも重要である。最近の都心再開発に多く見られるように、周辺の街区を一体として計画を行う場合、例えば地区全体で面的なエネルギー利用を促進することで、周辺環境に対するプラス効果、すなわち環境品質・性能(Q)の向上が期待できる。たとえ棟ごとに建築主が異なっても街区内の建物に対して共通の制約を課すことにより、地区全体での環境性能向上に取り組むことができる。このような「都市再生」を通じた取組みや、複数建物を含む地区一帯での取組みを評価するツールとして、「CASBEE-まちづくり」が開発された。
(6)CASBEE-すまい(戸建)
CASBEEの基本ツールの評価対象に集合住宅は含まれているが、戸建住宅は含まれない。戸建住宅版を評価するためのツールとして「CASBEE-すまい(戸建)」が開発された。
図3 CASBEEの拡張ツール(2006年7月現在)
研究体制
CASBEEの研究開発は、国土交通省住宅局の支援のもと、産官学共同プロジェクトとして開発が進められており、JSBC(日本・サステナブル・ビルディング・コンソーシアム)および傘下の小委員会(下図参照)がその主体的な運営にあたっている。
なお、JSBCの事務局は、(財)建築環境・省エネルギー機構内に設置されている。

図4 CASBEEの研究体制組織図(2006年7月現在)
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