CASBEE-HI(ヒートアイランド)

CASBEE-HI(ヒートアイランド)は、建築物に起因するヒートアイランド現象を緩和するのための方策や設計上の取組みを評価するためのツールです。CASBEE-HIを利用することで、建築物のヒートアイランド現象に対する配慮の程度を簡便に知ることができます。
本ツールは、(1)設計支援への活用、(2)格付けへの活用、(3)施策展開への活用 の3つの活用方法を想定し開発されており、設計者や建設事業者が使用することはもちろん、自治体等が良好な環境性能を持つ建築物を誘導することに役立てたり、建築教育への活用も視野に入れたものとなっています。

CASBEE-HIの評価マニュアルは当財団よりご購入頂けます。購入方法等についてはこちらをご覧下さい。なお、ダウンロードサービスは行っておりません。ご了承下さい。

CASBEE-HI(ヒートアイランド)開発の背景と目的

都市におけるヒートアイランド対策は、都市スケール、街区スケール、建築スケールなど様々なスケールでの取り組みがなされなければならない。都市を個々の建築物の集積とみれば、都市のヒートアイランド現象緩和を実践するには、個々の建築スケールでのヒートアイランド現象の緩和を出発点として、その効果を集積することが必要である。その過程では、個々の建築物周辺の気候を改善するとともに、広域へのヒートアイランド負荷の削減にも効果的に寄与する必要がある。

近年のヒートアイランド現象の深刻化の状況を受け、政府はヒートアイランド現象緩和に関する諸施策を打ち出しており、平成16年3月に、「ヒートアイランド対策大綱」を公表した。また、国土交通省は平成16年7月に、「ヒートアイランド現象緩和のための建築設計ガイドライン」を通知した。CASBEE-HIはこれらの動きを受け、建築物に係わるヒートアイランド現象緩和のための具体策を評価するツールとして整備されたものである。

CASBEE-HIを利用することで、建築関係者が適切なヒートアイランド現象緩和方策を立案する際の支援ツールとして活用することができる。また、自治体の担当者がその対策を評価したり、第三者が環境格付けを行ったりする際にも役立てることができる。以上を踏まえ、CASBEE-HIのユーザとして以下の関係者を想定している。

CASBEE-HIは、CASBEE-新築等においてヒートアイランド現象緩和に関する評価項目が含まれている、Q3(室外環境(敷地内))、LR3(敷地外環境)の内容を補完する立場から整備されている。建築物全体の評価はCASBEE-新築等によって行い、特にヒートアイランド現象緩和のために特化した評価の際には、CASBEE-HIにより行うという位置付けとなっている。

CASBEE-HIの評価対象空間

CASBEE-HIでは、都市を個別の建物」の集積と捉え、CASBEE-新築等に倣い、敷地を囲む仮想閉空間(Control Volume; C.V.)を考える。この仮想閉空間の内側は設計者の設計範囲であり、設計内容が暑熱環境の緩和や外部への熱的負荷低減に大きく影響する範囲と捉えることができる。この仮想閉空間の内側に対しては、歩行者空間等のような人間の存在する領域の温熱環境の質(Quality、以降QHIと表記)を暑熱環境の緩和に対する効果という視点から評価する。一方、外側に対しては、外部への影響をなるべく減らすべきという観点から、外部への熱的環境負荷(仮想閉空間外へのヒートアイランド負荷)(Load、以降LHIと表記)の削減という視点から評価し、このLHIの削減効果をLRHI(Load Reduction for Heat Island)と表記する。
仮想閉空間の内側における暑熱環境の緩和効果(QHI)は、人間が存在する地上2~3mの領域(歩行者空間等)を対象に評価する。ここでいう歩行者空間等には、歩行者空間のほか屋上庭園やピロティ等のような敷地内の屋外において人が存在する領域全体(屋外生活空間)を含む。

図1 評価のための仮想閉空間

評価の仕組みと概要

CASBEE-HIが評価対象とする建築物の主要用途は、CASBEE-新築等に準じ、事務所、学校、物販店、飲食店、病院、ホテル、集会所、工場の非住宅系用途、および住宅用途(集合住宅)としている。これらの建築物を建物用途、立地条件、法定容積率について分類することにより、評価対象建築物を18種類に分類している。なお、複合用途(非住宅系用途と住宅系用途の複合用途建築物)についても評価できる仕組みとしている。


図2 CASBEE-HIの評価対象建築物の分類

一方、評価シートは、評価対象とする建築物の風環境に着目した立地条件(2種類)、法定容積率(3種類)に応じて、下表に示す6種類に分類することを基本としている。しかし、使用者の便益を考慮して、見かけ上の評価シートは1種類のシートに集約している。6種類の評価シートは、立地条件と法定容積率を選択することで自動的に6つの分類に応じた重み係数が選択される仕組みとしている。なお、これらの係数は、東京・大阪等の大都市をモデルとしたパラメトリック・スタディの結果を踏まえて定められている。

図3 CASBEE-HIの評価シートの分類に対する基本的な考え方

採点基準と評価項目

CASBEE-HIでは、QHI(敷地内の暑熱環境の緩和効果)と、LRHI(敷地外へのヒートアイランド負荷低減性)をそれぞれ採点し、その結果をBEEHI(Building Environmental Efficiency for Heat Island Relaxation:ヒートアイランド現象緩和に関する建築物の環境効率)を指標として評価する。各評価項目の採点基準は、CASBEE-新築等と同様に、以下の考え方に従って設定されている。

  1. レベル1~5の5段階評価とする。
  2. 原則として、必須要件を満たしている場合は1点、一般的な水準と判断される場合は3点と評価できるような採点基準とする。
  3. 3)一般的な水準(レベル3)とは、評価時点の一般的な技術・社会水準に相当するレベルをいう。

評価結果表示シートでは、QHIとLRHIのそれぞれについて、項目ごとの評価結果がレーダーチャートと棒グラフ及び数値で表示される。さらにBEEHIの結果がグラフと数値で表示され、これらによって、評価対象の特徴を多角的かつ総合的に把握することができる。BEEHIはQHIとLRHIの得点である、SQHI、SLRHIに基づき、QHI/LHIとして、以下の式により求められる。

また、グラフ座標上で縦軸のQHI値と、横軸のLHI値でプロットされる環境効率の位置により、SランクからCランクまで、5段階のヒートアイランド現象緩和に関する建築物の環境効率ランキングが表示される。

CASBEE-HIの評価項目は、平成16年3月に発表された「ヒートアイランド対策大綱」と、同年7月に策定された「ヒートアイランド現象緩和のための建築設計ガイドライン」等を参考に、(1)風通し、(2)日陰、(3)外構の地表面被覆、(4)建築外装材料、(5)建築設備からの排熱、の5つを大項目として位置付け、敷地内の屋外の歩行者空間等を対象とした暑熱環境の緩和効果(QHI)と、敷地外へのヒートアイランド負荷低減性(LRHI)に区分して評価する。小項目には中項目を実現する上で重要と考えられる建築計画上の配慮項目を取り上げている。

表1 CASBEE-HIの評価項目一覧 (クリックすると拡大されます)

CASBEE-HIの評価シートは、メインシート、採点シート、スコアシート、評価結果表示シートの4つのシート群からなる。
メインシートは建築物の概要、評価パラメータ、外観パース等を入力する。採点シートはヒートアイランド現象緩和に関する建築計画上の配慮項目、評価パラメータとその採点基準、スコア欄、から成る。配慮項目欄は大項目・中項目・小項目から成り、小項目の評価スコアをプルダウンメニューから選択することで、自動的に、QHI(敷地内の暑熱環境緩和効果)とLHI(敷地外へのヒートアイランド負荷)に関するスコアが算定されるようになっている。

以下に評価結果表示シートの出力例を示す。評価結果表示シートでは、QHI、LRHI、さらにBEEHIの結果がグラフと数値で表示される。また、評価者が計画上、ヒートアイランド現象緩和のために特に配慮した事項や、評価の際に考慮した事項などを任意に記載できるようになっている。

図4 CASBEE-HIの評価結果表示シートの出力例