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環境性能評価の歴史的展望

(1)第一段階の環境性能評価

日本において最も初期から行われてきた建築物の環境性能評価は、建築物の主として屋内環境の性能を評価するための手法であり、言い換えれば、基本的に建物ユーザーに対する生活アメニティの向上、あるいは、便益の向上を目指した評価である。これを建築物の環境性能評価の第一段階と呼ぶことができる。この段階では、地域環境、地球環境を開放系とみなすことが一般的であり、外部に与える環境負荷に関する配慮は希薄であった。この意味で、環境評価の前提となる理念は、逆の意味で明快であった。

(2)第二段階の環境性能評価

1960年代には、東京などの都市域で大気汚染やビル風等に対する一般市民の関心が高まり、これらの問題への対応が環境影響評価という形で社会に定着した。この時はじめて環境性能評価の中に環境負荷の視点が取り入れられることになった。これを建築物の環境性能評価の第二段階とすることができる。ここでは、ビル風、日照阻害など、建物の周辺に対する負の側面(いわゆる都市公害)のみが環境影響(すなわち環境負荷)として評価された。言い換えれば、第一段階における評価の対象は私有財としての環境であるのに対し、第二段階のそれは主として公共財(或いは非私有財)としての環境である。

(3)第三段階の環境性能評価

次の第三段階は、1990年代以降に地球環境問題が顕在化してから話題になった建築物の環境性能評価である。これに関しては、既に多くの研究実績に基づく具体的な手法が提案されており、BREEAM、LEEDTM、GB Toolなどがこれに含まれる。このような建築物の環境性能評価手法は、近年先進国を中心にして急速に社会に普及し、世界各国で環境配慮設計や環境ラベリング(格付け)の手法として利用されている。
この段階における評価の重要な点は、建設行為の負の側面、言い換えれば、建築物がライフサイクルを通じて環境に及ぼす環境負荷、すなわちLCAの側面にも配慮したことである。その一方で、従来型の建築物の環境性能もまた、第一段階と同様に評価対象に含まれている。ここで指摘すべきは、上記のいずれの評価ツールにおいても、第一段階と第二段階における、性格の異なる2つの評価対象の基本的な相違が明確に意識されていないことである。すなわち概念の異なる評価項目が並列に並んでいると同時に、評価対象の範囲(境界)も明確に規定されていない。この点において、第三段階の評価手法の考え方は、第一段階、第二段階に比べて評価対象の枠は拡張された反面、環境性能評価の前提としての枠組みが不明瞭になってしまったと考えられる。


第四段階の環境性能評価:新しいコンセプトによる建築物の総合的環境性能評価

以上のような背景から、既存の環境性能評価の枠組みを、サステナビリティの観点からより明快なシステムに再構築することが必要という認識に立って開発されたのがCASBEEである。そもそも前述した第三段階の環境性能評価の開発は、地域や地球の環境容量がその限界に直面したことからスタートしたものであるから、建築物の環境性能評価に際して環境容量を決定できる閉鎖系の概念の提示は欠かせないことである。それゆえ、CASBEEでは下図に示されるように建物敷地の境界や最高高さによって区切られた仮想閉空間を建築物の環境評価を行うための閉鎖系として提案した。この仮想境界を境とする敷地内の空間はオーナー、プランナーを含め建築関係者によって制御可能であり、一方敷地外の空間は公共的(非私有)空間で、ほとんど制御不能な空間である。
環境負荷はこのような概念の下で、「仮想閉空間を越えてその外部(公的環境)に達する環境影響の負の側面」と定義される環境要因である。仮想閉空間内部での環境の質や機能の改善については、「建物ユーザーの生活アメニティの向上」として定義する。第四段階の環境性能評価では、両要因を取り上げた上でそれぞれ明確に定義し、区別して評価する。これによって評価の理念がより明確になる。この新しい考え方こそがCASBEEの枠組みの基盤となっている。


<敷地境界によって区分される仮想閉空間>



環境効率(エコ・エフィシェンシー)からBEE(建物の環境性能効率)へ

CASBEEでは建築敷地内外の2つの要因を統合して評価するために、エコ・エフィシェンシー(環境効率)の概念を導入した。エコ・エフィシェンシーは通常「単位環境負荷当たりの製品・サービス価値」と定義される 。そこで、「効率」は多くの場合、投入量(インプット)と排出量(アウトプット)との関係で定義されるので、エコ・エフィシェンシーの定義を拡張して新たに「(生産的アウトプット)を(インプット+非生産的アウトプット)で除したもの」というモデルを提案することができる。下図に示すようにこの新しい環境効率のモデルからさらに建築物の環境効率(BEE; Built Environment Efficiency)を定義し、これをCASBEEの評価指標とした。

<環境効率(エコ・エフィシェンシー)の概念からBEEへの展開>

 

 

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