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「第6回サステナブル住宅賞」受賞建築物

  一般財団法人建築環境・省エネルギー機構理事長賞(改修部門)

後山山荘 (単位:m2 階数:地上/地下)
建築物名 後山山荘
建設地 広島県福山市
規模構造等 延べ面積(m2 140m2
階数
(地上/地下)
1/0
構造 木造
※画像クリックで拡大  詳しい作品紹介はこちら
講  評

広島県福山市鞆の浦の高台に建つこの住宅に辿り着くまでの小径と敷地からの眺望は、小児期に脳裏に強く焼き付けられた瀬戸内海の美を思い起こさせるものであった。鞆港とその向こうに瀬戸内海の波面の揺らぎの合間に点々と浮かぶ幾つかの小島が見渡せ、背後には山並みが控えたこの場所は、「後山山荘」に限らずとも絶好の立地環境であろう。そこに、建築環境工学の先駆者である藤井厚二による設計の別荘が、母屋は瓦解して瓦礫と化し木々に埋もれ朽ち果てた状態で、存在していたという。この別荘を修復・再生した応募者である建築家は、「向き合った4年間は無言で語りかけてくる建築家『藤井厚二』との対話であった」と言う。

既存の部材・材料で利用できるものは利用し、新しい素材を追加する場合にも古い素材との調和を図って復元していく手法は常套手段である。また、幸いにも隣接する蔵の中に多くの建具類が保管されていたため、当然のことながら、それらを有効に利用して修復・再生がなされている。形態と空間配置については、藤井厚二の思想を踏襲しつつ、現代の技術を利用して、快適な住環境の実現を達成している。たとえば、残存していたサンルームは、オリジナルな状態に修復しつつも、床の壁面に新たに跳上障子を設けたり、天井に設けられてあった小屋裏換気窓を再活用したりすることで、空気の対流を生み出し、室内の熱環境の調整が図られている。また、居間の床には、蓄熱効果のある厚さ25mmの黒御影石が敷かれ、床暖房の効果が高められている。

惜しむらくは、上記のように熱環境への様々な配慮がなされているにもかかわらず、省エネルギー性能に関しての定量評価がなされていないことである。断熱材に取り囲まれた現代住宅の省エネルギー性能には到底及ばないことは想像に難くないが、古民家の再生・修復における省エネルギー性能の改善効果に関するデータの蓄積は重要であり、今からでもその評価がなされることに期待したい。

繰返しになるが、「後山山荘」は、鞆の浦の遺伝子と藤井厚二の遺伝子を見事に継承し、文化財的価値を有する住宅のサステナブルな再生のあり方を提示した作品であると言えるのではなかろうか。

 



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