IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

理事長賞B05Tokyo記念サステナブル建築・住宅賞(事務所ビルの部)

「汐留タワー」

建築主鹿島汐留開発(株)
設計者鹿島建設(株)
施工者鹿島建設(株)
建設地東京都港区
構造SRC造
階数地上38階地下4階
延床面積79,819m2

講評

企業の21世紀の知的生産拠点として位置付けられているヘッドクオーター(低層部分)と、ホテル(高層部分)からなる複合超高層ビルである。
オフイスフロアを特徴付けているのは、2層ごとに設けられている「オフイスガーデン」と呼ばれる空間である。フロアの中心に位置し、南面して全面ガラスの開口部を持つ2層吹き抜けの空間で、打ち合わせ、休憩などに使われる共用空間である。間仕切りのない広いオフイス空間にあって文字通りオアシスの役割を持つが、自然光にあふれ、知的生産拠点にふさわしいナレッジワーカーのための活気のあるリフレッシュ空間になっている。同時に自然換気装置も設けられ、空気環境調整の役割も持つ。オフイス空間の天井は高い反射率をもつ鏡面に近い仕上げで、自然光照明の効果を促進している。
大量の外気を取り入れた外気冷房システムは、換気経路が十分に検討され、熱負荷削減とともに室内空気環境の質的向上にも効果がある。事前の入念な計画、竣工後の実測による効果の検証は特筆される。ホテル部分では、各室に設けられている個別制御の換気装置があり、細かな配慮がみられる。オフイス部分の消費熱量は1.8GJ/m2・年と少ない。また、BEEは3.6ときわめて高い。
資源循環に対する配慮から、外壁にタイルを多用し、シンプルながら落ち着いた印象のファサードを形成している。省エネルギー技術として特筆する新しいシステムはないが、バランスの取れた堅実なデザインとして評価される。

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