IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

審査委員会奨励賞第3回サステナブル建築賞(その他ビル部門)

「タクボエンジニアリング(株) 東金テクニカルセンター」

建築主タクボエンジニアリング(株)
設計者清水建設(株)
施工者清水建設(株)
建設地千葉県東金市
構造S造
階数地上2階建
延床面積3,969m2

講評

 郊外にあるやや高台の工業団地の一画に立地するが、金属の質感を柔らかな曲線に包み込んだ外観は、周囲の機械的で無機質な工場や倉庫群とは明らかに一線を画する“美しさ”を醸し出している。加えて、様々な建築的ならびに設備的取り組みが効果を発揮し、中小規模の環境配慮建築のモデルとなりえる建築となっている。海に近い気候や西側にある斜面などの地勢に配慮し、その特性を生かした計画となっており、特徴的な外観とともに、高く評価できる。
鋼板による屋根から壁へと連続した外装を断熱材と一体化して施工し、躯体の省エネ性能を向上させている。一部の隙間の多いディテールには疑問が残るものの、総じてうまくまとまっている。南面玄関上部に設置された太陽光発電装置の、建築と一体化した仕上がりも高い水準にある。事務スペースを北に面する位置に天井を高く取って設けているが、床放射を兼ねた超低速床吹き出しの空調がドラフトを防いで快適な温熱空間を作り出し、また全面ガラスの壁面とトップライトが安定した天空光を効果的に取り込み、人工光の大幅な削減に寄与している。
これらの結果として、1020MJ/m2・年という低いエネルギー消費原単位を実現している。しかしながら、工場や搬送ヤード的な空間も多く、面積に比して就業人数が少ないことから、オフィス部分とその他を区分した原単位では評価が異なる可能性もある。また、空調はパッケージエアコンを主としているが、これらの配置や熱源を含めた制御方式等にはまだ検討の余地があると思われ、より一層の最適化が望まれる。
もちろん、これらを差し引いたとしても全体水準の高さは奨励賞に十分に値するものである。加えて、「創造性が高まり、士気が高まる」建築であるという、使用者側の評価も特記に値する。新しい建物に移って社員の自発的な創意工夫が増え、建物の使用方法にもより深い配慮が行われるようになった、とのことである。サステナブル建築の環境性能の高さが、知的生産性の向上を促した好例となっている。
「申請書の写真よりもはるかに現物のほうがよかった」という評価もあるほどに、現地調査において書面審査時点より数段評価を高めた審査案件であった。

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