IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

理事長賞第4回サステナブル建築賞(小規模建築部門)

「いすみ市立岬中学校」

建築主いすみ市
設計者(株)日本設計
施工者新日本建設(株)
建設地千葉県いすみ市
構造RC造、SRC造、S造
階数2階建
延床面積5,036m2

講評

 建設地は外房、九十九里浜の最南端に立地し、晴天率が高く夏期・中間期の風向が安定した気候であることから、太陽熱、太陽光、風を最大限活用する工夫を施している。緩い勾配屋根を用いた太陽熱空気集熱システムを用いて、夏期昼間は屋根面の排熱を、夜間は放射冷却で冷却された外気を取り入れたナイトパージを、冬期の昼間は、集熱した暖気を普通教室と多目的ホール、ふれあいホールに吹き出し、学校全体を暖房している。実現した室温は17℃程度であるが、高い断熱性能と気密性能を確保したことから、設置した暖房設備は今まで殆ど使用していない。一方、開校式が行われた盛夏でも、通風だけで十分涼しかったとのことである。通風と共に、バルコニーと深い庇による日射遮蔽を十分行うことで、冷房がない夏期でも快適な教室内環境を確保している。
また、多目的ホールとふれあいホールはスリット方連続トップライトにより、普通教室はフルハイト連続窓とライトシェルフにより、昼光照明を行っている。南北に大きな開口を設け、勾配屋根と多目的ホール上部に設けた簡易な機構の機械開放可能なフル・ハイトサイドライトにより自然換気が確保できる。
更に、県産材である山武杉や再生材を利用した内装、ロスの少ない工法の選定等の環境配慮の材料・工法の採用、材料種類の限定、構造体を活かしたデザインなど、材料、構法面での環境負荷低減も図っている。

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