IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

国土交通大臣賞第6回サステナブル建築賞(事務所建築部門)

「清水建設本社」

詳しい作品紹介はこちら

所在地 東京都中央区
構 造 RC造(一部S造)、免震構造
規 模 延床面積51,335m2  地上22F/塔屋1F/地下3F
建築主 清水建設(株)
設計者 清水建設(株)
施工者 清水建設(株)

講評

本建物は、創業100年を機に移転して以来、90年間拠点としてきた「ゆかりの地」にこだわり、持続可能な社会に貢献する本社オフィスビルを目指して建てられた。計画コンセプトでは、Quality of Life, Energy, Eco, BCPという現代的キーワードをもとにして、「快適な省エネ」、「確実な節電」、「エネルギーの自立性確保」、「巨大地震対策」という、今後のサステナブル建築に求められる要件が明確に示され、それらを達成するためには新たな環境技術の開発が必要であったと謳われている。
もとより都市型サステナブル建築の実現はハードルが高い。過密な都市の街区であっても、敷地に余裕があったり、たまたま隣地が公園であったりすれば、少しはハードルが低くなるが、中高層建築が林立する多くの過密都市の街区ではその実現は容易ではない。こうした制約の大きい立地条件のなかでサステナブル建築にチャレンジし見事実現していることが、国土交通大臣賞受賞となった真価である。
あまりに技術偏重なサステナブル建築は乾いたニュアンスが強く、環境性での評価ポイントが見出しにくいことが多いのだが、本ビルは真正面から技術重視で臨んでいる。この率直なアプローチが評価されたのは、何よりも、都市型超高層ビルのサステナビリティーとはこうあるべきという未来形を、ZEBを目指すこと、高品位な室内環境を実現すること、地域でのエネルギーマネージメントを核にしてスマートコミュニティーを構築すること、とクリアーに提示して、それを正に実現し、更にその実体を豊富なデータで性能検証したエンジニアリング力にあると思われる。
開発し投入した技術がよく推考され厳選されていることも、総花的になりがちなサステナブル建築とは一線を画している。これは、放射空調とデシカントによる潜熱顕熱分離空調のマッチング、ペリメータ負荷低減のためのハイブリッド外装、昼光導入とタスクアンビエント、地域熱供給施設との協調と地域エネルギーマネージメントなど、技術選択が適切に行われ、それがトータルに奏功していることによる。
作品とよぶより建築とよびたい技術性が好印象である。

戻るボタン