IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

審査委員会奨励賞第8回サステナブル建築賞(大規模建築部門)

「コイズミ緑橋ビル」

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所在地 大阪府大阪市
構 造 S造
規 模 延床面積5,225m2 地上6階/塔屋1階
建築主 小泉産業(株)
設計者 (株)竹中工務店
施工者 (株)竹中工務店

講評

本建物は、照明器具の企画、開発、製造、販売を行っている照明メーカーの研究開発施設である。建築主が照明メーカーと言うこともあり、知的生産性向上に寄与する照明計画や高度の照明制御、照明と他の設備が連携を主軸に自然の光や風を取り入れた環境配慮型オフィスとして建設されたものである。
環境配慮技術としては、DALIによる照明制御、階段状緑化バルコニー、DALIを用い照明以外の空調・ブラインドなどの他の設備との連携や、タスク・アンビエント空調、自然採光・自然換気を採用している。
照明計画では、知的生産性を高めるため部門ごとの働き方、仕事内容に合わせ、時間ごとに照度色温度を設定し、きめの細かい執務環境づくりをしている。更に竣工後も各部門からの意見や要望を照明計画に反映し、チューニングしている点は、照明メーカーならではである。
空調計画では、オフィス中央部にある吹抜けを設け、そのトップライト部のモーターダンパーは、室内温湿度、外気温湿度、外部風速、降雨強度、風向を10分ごとに測定し、開閉制御し自然採光、自然換気による省エネ効果を高めている。また、この吹抜けは内部階段を併設することにより、上下階への移動にも使われ、職場の活性化に寄与している。省エネ性能と職場の生産性向上を両立した計画となっている。また、外出の多い部門を対象に快適性と省エネを両立するタスクアンビエント吹出口を採用し、吹出口ごとに1対1の発停が可能となっている。人が不在の時は空調を切り、在席時は個人で空調制御することが可能であり、省エネ化を計るとともに知的生産性の向上を図っている。
外部に設けている緑化バルコニーは階ごとにセットバックすることにより、植栽が健全に成長することを可能にするとともに自然通風用の開口としても機能し、内部執務者の職場環境を向上にも寄与している。
本建物の北側は高架の阪神高速道路があり、東西は中層マンション、南側は戸建て住宅地となっている。本建物により南側の住宅地は、高速道路を意識せずに済み、更に階段状の植栽により、住宅地の居住環境向上に寄与している。
本建物は、省エネ性能もさることながら、そこで働く人の執務環境向上を図るとともに、周辺環境にも配慮したバランスの取れた建築である。

 

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