IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

硝子繊維協会会長賞第3回サステナブル住宅賞(新築部門)

「白山通りのいえ」

撮影:加藤嘉六

建築主個人
設計者(有)薩田建築スタジオ 鹿野都市・建築計画事務所
施工者(株)宇佐美工務店
建設地東京都文京区
構造RC造
階数地上6階地下1階
延床面積265m2

講評

「白山通りのいえ」は、都心の本郷台地との境界に立ち、狭い敷地を最大限に活用した建坪13坪の塔状の都市型住宅である。この住宅で特筆すべき点は、比較的立地条件が厳しいにもかかわらず、最大限の自然エネルギーを利用し、都心ながらも自然を意識できるような素材を積極的に取り入れていることである。
自然エネルギー利用としては、現場施工杭に打ち込んだ配管による地熱利用、塔状なので屋上では日射が比較的確保しやすいことを活用した太陽熱による給湯、屋上の雨水を1階のトイレで使う中水利用の採用と、地熱、太陽熱、雨水を積極的に採用して、省エネルギー、省資源につとめている。
また、内外部の仕上材には、左官の壁、無塗装の鉄、無垢フローリング、無垢材の家具など、都心でありながらできるだけ自然素材を取り込み、人に優しい仕上げを実現するともに、無機質な都会のイメージではない住宅を演出している。
さらに躯体蓄熱の輻射冷暖房の採用により、冷暖房時の快適な室内空間への配慮がなされるとともに、台地の境界であるがために風通しがよいので、中間期や夏期には通風も積極的に活用している。 このように高層化した都市空間でありながら、自然環境を積極的に活用して伝統的な素材の良さを活かした住宅であり、サステナブル住宅賞にふさわしいといえる。

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