IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

日本木造住宅産業協会 会長賞第6回サステナブル住宅賞(新築部門)

「稲城エコハウス」

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建築主個人
設計者(株)アイケーホーム
施工者(株)アイケーホーム
建設地 東京都稲城市
構造木造
階数2階建
延床面積123m2

講評

「稲城エコハウス」は、幹線道路に程近い郊外住宅地に立地する木造軸組工法の住宅である。環境意識の高い施主自らが基本設計を行い、技術・ノウハウを有するハウスメーカーが実施設計・施工を担当し、双方のコラボレーションにより高いエネルギー自給性能を実現した点が特徴である。
省エネルギーに関しては、パッシブ技術としてアルミ樹脂複合サッシや低放射複層ガラス等を採用することにより、建物全体の断熱・気密性能を高めている。また東西方向に長く、南側が道路に面した敷地、卓越風が南風という立地特性を活かし、南北方向の自然換気経路を確保すると共にウインドキャッチャー効果による東西面の窓からの採風も試みている。暖冷房負荷の削減のためには、冬季のダイレクトゲインや夏季の日射遮蔽に対する十分な配慮もなされている。アクティブ技術としてはオール電化仕様とし、空調に高効率エアコン及び熱回収率85%の第1種全熱交換型ダクト換気システム、給湯には電気ヒートポンプ式給湯器、照明及び冷蔵庫・テレビなどの家電も全て最高レベルの省エネ性能を有するものを採用している。これら様々な工夫により、世帯人数が同じ標準的な戸建住宅と比較してそのエネルギー消費量は30%程度にまで抑えられている。一方、創エネルギーに関しては、南側を向いた片流れ屋根のほぼ全面に11.4kWという一般家庭の容量の2~3倍に相当する太陽光発電システムを設置している。以上のような徹底した省エネと創エネにより、エネルギー自給率平均500%を達成するに至っている。今後は、自家消費の比率を高める工夫等の更なる検討を期待したいところである。
全体を通してCASBEEの評価基準に忠実な設計が為されているため、居住環境の豊かさや先導性に対する配慮が不十分な点が惜しまれるが、「CASBEE戸建-新築2010」を用いた評価によると、Q3及びLR2を除く他の全ての中項目のスコアが4.0以上となっている。結果としてBEE=6.7のSランク、ライフサイクルCO2に関してはマイナス35%を達成し、緑☆☆☆☆☆のLCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅として認定されている点も評価に値する。

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