IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

建築環境・省エネルギー機構理事長賞第8回サステナブル住宅賞(新築部門)

「ライオンズ港北ニュータウンローレルコート
 -パッシブとスマートを融合した次世代環境共生住宅-」

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建築主 (株)大京、近鉄不動産(株)
設計者 (株)IAO竹田設計、三井住友建設(株)一級建築士事務所、(株)ランドスケープ・プラス
施工者 三井住友建設(株)横浜支店
建設地 神奈川県横浜市
構造 集合・RC造
階数 7/1(地上/地下)
延床面積 20,571m2

講評

分譲マンションにおける様々な設えや取組みは、販売当時華々しく打ち出されるものの、分譲管理組合へ維持管理や運営が任された以降、費用対効果の問題や転売等による思い入れの薄れなどからか、その後、淋しい現実を見せ付けられる場面も少なくない。
サステナブル住宅賞は「建築主、設計者および施工者の三者の協力」に対して選定されるが、分譲マンションにおいては、当初の枠組みづくりや始動期へのフォローが、その後の「住まい手」の意識の醸成や持続的運用・活動の面から、とても重要である。
その点、本入賞作品は、入居前の「植樹祭」(135世帯参加)「グリーンカーテンセミナー」(91世帯参加)や「ビオトープ・ふれあいの森生態系イベント」(のべ195世帯参加)による“居住者の愛着心の育成”、事業主・設計者・管理会社・植物管理会社とマンション理事会との「協同巡回」(3回/年)を通じた“担い手の意識向上”、建設後3年間のビオトープ運営に係る“事業主・設計者によるサポート”は、その後の居住者主体のイベント実績や居住者の生活実感からも取組みは狙い通りである。

ハード面の取組みとしても、緑豊かな土地柄を生かした「グリーンマトリックス」を在来種中心に再現すると共に、クールスポットにより気圧変化をもたらし「風の創出」を図っている点に配置上の工夫を感じる。また、ビオトープを含む共用部の維持管理費用削減策として、井戸水や太陽光発電利用により年約1,800千円の削減を実現している。併せて、太陽光発電は、災害時に、生活動線・救助動線確保、生活用水確保、共用部Wi-Fi設備向け電力へ活用するシステムとなっており、災害時の「共助」として、居住者にとって、とても心強い設えと考える。
本入賞作品よりもCASBEE評価の高い集合住宅の応募はあったが、それらを抑えて審査委員の総合点数が上回った事は上記訴求の賜物であり、持続可能なストックの形成に向けて同様な取組みが、一般的に普及する事が期待される。

 

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