IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

板硝子協会会長賞第9回サステナブル住宅賞

「深江竹友寮」

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建築主 株式会社竹中工務店
設計者 株式会社竹中工務店
施工者 株式会社竹中工務店
建設地 兵庫県神戸市
構造 集合・RC造+S造+SRC造
階数 3F
延床面積 6190m2

講評

 この建物は竹中工務店の新入社員寮として2019年に竣工した。半世紀ほど使用された旧寮では2人一部屋の共同生活としていたが、社会の変化に対応すべく新寮では一人一部屋とし、個室空間は高めの天井高(3.5m)を活かして上部にベッド、下部の窓脇に机という構成としている。各室には小型排気ファン・暖冷房エアコンが設置されている。個室は小さめに、共有空間は広めに計画されている。これは新人どうしの交流を促すことを可能とするためである。優れた室内環境性能を有するこの寮での生活体験を、新入社員の人たちがその後のライフスタイルづくりに活かしていけるように、この寮における住環境教育プログラムが構築・実践されていくとよいだろう。
 以下、賞の選考で評価された点を列記する。1)3階建ての建物外観は、近隣住宅群の中に在って威圧さを感じさせず好感が持てる。2)建築外皮の断熱性能は十分に高い(寮としては稀有の事例と思われる)。3)奥行の深いバルコニー空間とその前面に並ぶ列柱は日射遮蔽装置としての役割を十分に果たしている。4)断熱性・日射遮蔽性の確保は、室内空間の表面温度を、冬にも夏にも緩やかな変動範囲に抑えることになっていると考えられる。5)全般照明による照度は低めに抑えられ、その一方で机上面では十分な照度が得られるような照明器具が設けられており、その結果として壁面輝度の分布が緩やかになり、全体として穏やかな光環境が形成されている。6)給湯用の主熱源はガスボイラーで90%の供給を担っている。残り10%のうち8%が太陽熱、2%がガス炊きコジェネレーションシステムから供給されている。7)年間エネルギー使用量はZEH-M Ready認証のレベル(比較対象とした基準建物に対して年間エネルギー使用量がほぼ半減できるレベル)である。8)集合住宅を対象としたWell Building Standardの日本初の認証を受けている。

 

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