IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

住宅金融支援機構理事長賞第5回サステナブル住宅賞(新築部門)

「古さこそモダンな家づくり・K邸」

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建築主個人
設計者(有)みすゞ設計
施工者伊賀良木材(株)
建設地長野県飯田市
構造木造
階数階数
延床面積223m2

講評

100年以上住み継がれてきている、本棟造りの古民家の部材を再利用し、本棟造りの様式を再現しつつ、居住性、耐震性、耐久性に優れ、CASBEE評価Sを実現し、長期優良住宅の認定を取得している。
本棟造りは、中信南信地域の伝統的な民家の様式であり、間口奥行き各々3スパンのほぼ正方形のプランに緩い勾配の切妻屋根がかけられている。当初は、改修による再生を検討したとのことであるが、部材の再利用による新築にすることを決断している。長期優良住宅の認定をめざし、地盤調査に基づき、61本のくい打ちを施し、べた基礎を設け、その上に古材を活用しつつ、本棟造り様式の住宅を再現しているが、敷地にある、既存の塀や植栽とともに、地域の景観保全にも寄与している。長期優良住宅への古材の活用については、国交省の担当部局に確認している。
トップライトと吹き抜けは、もともと薄暗く閉鎖的であった内部を一変させ、明るく空気的に一体の内部空間を生み出している。古材を再利用した梁は、吹き抜け空間を特徴づけるとともに、この住宅が代々住みつながれてきていることを、象徴している。
夏は一体化された空間を抜ける通風を活用し、冬はパネルヒーテイングによる輻射暖房を採用し、快適な省エネルギーを実現している。
架構に古材を用いるほか、古材を加工して各種の造作材に活用し、建具なども古い物の使い回しを巧みに行っている。
設計のディテールについては、バリアフリーへの配慮、内装への珪藻土塗りの活用、浴室内装に木材を活用するための耐久性確保への配慮について、効果を上げている。
設計者は、応募住宅を含め、本棟造り住宅の再生や部材の再利用に精力的に取り組み、そのノウハウを蓄積し、この地域の景観保全にも成果をあげてきていいる。古民家再生、古民家の部材活用の施工については、地域の工務店や左官工事店との連携体制を構築しているが、応募住宅にもその実績が継承されている。

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